環境発電とは、日常生活で発生する振動や圧力などの微弱エネルギーを再利用する技術です。また、ハードウェアの進歩により小さく省電力で動作する無線搭載マイコンが開発され、環境発電による微弱エネルギーでも動作が可能になりました。
この技術を利用すれば、工業製品や構造物にセンサを埋め込み、使用状況や劣化状態の管理が可能になります。
本書は、“温度”の計測制御を通して、センサ、信号処理、通信制御、データ処理、無線制御、環境発電を以下のポイントで解説します。
・センサの利用方法を理解し、適切に利用できる。
・信号処理の流れを理解し、情報をデータに変換できる。
・電子回路とパソコンを接続し、通信制御ができる。
・Excel VBAのプログラムを理解し、データ処理ができる。
・無線通信規格ZigBeeの利点を理解し、適切な設定ができる。
・環境発電とZigBeeを用いた計測システムの利点を理解できる。
本書の実習環境は、Window 8とExcel 2013に対応しています。また、環境発電にはTOCOSワイヤレスエンジンを使用しました。
計測データの情報処理ではExcel VBAを用いたデータ抽出や、モニタ表示の改良を加筆しました。そして、初版と同様に図解を多く採用し、イメージしやすい解説を心がけました。
本書で使用しているフリーソフト「EasyComm」は現在、作者のHPからダウンロードできなくなっています。
対応につきましては、本書の「正誤表」もしくは著者のサポートページをご覧ください。
お手数をおかけし申し訳ございませんが、よろしくお願い申し上げます。
第1章 計測制御の基礎
計測制御とは
パソコンによる計測制御
マイコンの概要と働き
センサの基礎
A/Dコンバータの基礎
第2章 USBを利用したRS232C制御の基礎
USB-RS232C変換
COMポート(RS232C)とは
RS232CとPICマイコンのUSART機能
ADM3202ANの利用
第3章 PIC16F88とソフトウェア
PIC16F88の利用
開発ツール(MPLAB IDEとCCS-C)
コンパイラ言語(CCS-C)の利用
C言語プログラムの構成
ターミナルソフト(Tera Term)で信号確認
第4章 RS232C通信を利用したPICマイコン制御
制御基板1の製作
制御基板1の回路とマイコン設定
プログラム開発と信号確認
A/D変換処理の基本
A/D変換の精度向上について
基準電圧を設定したA/D変換処理
第5章 Excel VBAの基礎
Excel VBAの準備
Excel VBAの概念
Excel VBEの基本知識
Excel VBAの構文
Excel VBAの基本構文
UserFormの利用
イベントの操作
グラフの作成と操作
マクロの記録
第6章 Excel(VBA)を利用した計測制御
制御基板2と回路
プログラム開発
EasyComm(VBAモジュール)でシリアル通信
計測プログラム(基本)
計測プログラム(応用)
第7章 ZigBeeの基礎
ZigBeeとは
ZIG-100B(ZigBeeモジュール)の概要
ZIG-100Bの利用
ZIG-100Bを利用した無線計測
第8章 TWE-Lite(トワイライト)の利用
TWE-Lite(トワイライト)とは
TWE-Liteの種類とモジュール
TWE-Liteにアプリの書き込み
TWE-Liteの開発方法
第9章 シリアル通信アプリ(App_Uart)の利用
超簡単!TWEアプリ(App_Twelite)のデータ
シリアル通信専用アプリとは
シリアル通信専用アプリの導入
シリアル通信専用アプリのモード設定
セーブ領域の消去と復旧
無線計測システムにTWE-Liteを移植
計測プログラム(展開1)
データ通信の確認
第10章 無線タグアプリ(Samp_Monitor)の利用
エナジーハーベスト(環境発電)とは
エナジーハーベスト制御基板(TWE-EH-S)
無線タグアプリの端子機能
無線タグアプリとセンサ
無線タグアプリを利用した計測システムの概要
無線タグアプリの導入
無線タグアプリのモード設定準備
無線タグアプリのモード設定(子機)
計測プログラム(展開2)
<コラム>
1.PIC12F675を利用したAC電力制御
2.GPS通信回路と地図表示
3.バッテリーカーの電力表示と記録
4.電波の放射について
参考文献
巻末付録
索引