私たちの「食」は決して豊かとは言えない状況になっています。「食」を単に「食べること」ではなく、人間の文化としてとらえ直して、豊かな「食」とはどのようなものか一緒に考えましょう。
人が生きる為に必要な衣食住の「食」は、「食べること(食事)」です。生き物は本能的に「生きるため」に「食べること」という行為をしていますが、人はその「食べること」に、「機能性」と「美味しさ」「楽しさ」をプラスしてきました。まず、食物を多く摂取するために料理をはじめました、料理をすると食物は食べやすく美味しくなります、さらに美味しく食べるために、心地よい空間を作る工夫をしました。その工夫には料理を盛りつける器やテーブルコーディネートもあります。
人はもともと手づかみで食事をしていましたが、食事をするためのさまざまな道具を作り出しました。機能的に美味しく食事をするには、ナイフで切ったほうが食べやすく、フォークで刺したほうが熱さも伝わってこないし、スプーンですくったほうがしっかり飲めます。器は、美味しく快適に食べることに必要な機能を持った工夫された道具です。このように人間は、さまざまな新しい発想によって快適に食事をするための方法と空間を作り出してきました。
人が作り出した工夫には、デザインというものもあります。人は個々の生活の中に、好みのデザインを取り入れることができます。それは生活を楽しみ豊かにする一つの方法です。そのデザインされたものを工夫し、組み合わせ、独自の空間を作り出すことで、さらに生活を快適に楽しむことができます。
食卓という小さな空間もその組み合わせによって色々と楽しむことができます。それがテーブルコーディネートというものです。
では。実際に「食べることを楽しむ」にはどうしたらいいのでしょうか。それには食器というものを知り、理解し、好きになり、楽しみながら工夫ができる「余裕と自由な発想」が必要になってきます。