物理、力学、電気、電気磁気学、計測、信号処理などを学ぶうえで、数学の知識は欠かせない。センサや信号処理、高精度な計測分析機器などにおいても、縁の下の力持ちとして数学が深く関わっている。
本書では、理工学分野の数学、計算科学の基本をより深く理解できるよう解説している。実際の応用面では解析解が得られることは少なく、離散的手法による数値計算によって実務に必要な工学解を見出す必要があり、データの解析・比較には統計学的意思決定やデータサイエンスの知識が必要である。可能な限り理工学分野における解を見出せるよう工夫している。
第1章 測定値の統計処理
1.1 正規分布
1.2 平均値
1.3 偏差
1.4 分散
1.5 標準偏差
1.6 不偏推定量
1.7 最尤法
1.8 相関と相関係数
1.9 計測システムに対する誤差の評価
1.10 有効数字
1.11 四捨五入と丸め
1.12 精度
1.13 ワイブル分布
第2章 数値計算の基礎
2.1 誤差
2.1.1 誤差の定義
2.1.2 誤差伝播の法則
2.2 三角関数の公式
2.3 単相交流回路の電圧と電流ならびに電力
2.4 三相交流,相電圧,線間電圧,三相電力
2.5 周波数変調
2.6 指数関数と対数関数ならびに双曲線関数
2.7 単位インパルス(デルタ関数)
2.8 リサージュ図形
2.9 デシベル表現
2.10 合成関数の微分と部分積分の公式
第3章 複素数と電気回路
3.1 複素数
3.2 複素数を用いた交流回路の電圧・電流の計算
3.3 複素数を用いた交流電力の計算
3.4 分布定数線路
3.5 対称座標法
第4章 級数と多項式
4.1 級数
4.2 べき級数
4.3 関数項級数
4.4 テイラー展開とマクローリン展開
4.5 周期関数
4.6 奇関数と偶関数
4.7 チェビシェフ多項式
4.7.1 第1種チェビシェフ多項式
4.7.2 第2種チェビシェフ多項式
4.8 ルジャンドル多項式
4.9 エルミート多項式
4.10 ベッセル関数
4.11 ガンマ関数
4.12 ベータ関数
4.13 楕円積分
4.14 ローラン展開
第5章 スカラとベクトル
5.1 スカラとベクトル
5.2 基本ベクトル
5.3 単位ベクトル
5.4 ベクトルの和と差
5.5 ベクトルの積
5.5.1 内積(スカラ積)
5.5.2 外積(ベクトル積)
5.5.3 ベクトルの三重積
5.6 線形結合
5.7 ベクトルノルムと正規化
5.8 射影
5.9 法線ベクトルと接線ベクトル
5.10 関数の直交性
第6章 方程式の数値解法
6.1 解の存在
6.2 2分法とはさみうち法
6.3 ニュートン-ラフソン法
6.4 ベアストウ法
第7章 行列と逆行列ならびに固有値
7.1 行列
7.2 行列の演算
7.2.1 行列の和と差
7.2.2 行列と実数との積
7.2.3 行列と行列との積
7.3 行列式と余因子
7.3.1 行列式
7.3.2 余因子行列
7.3.3 行列式の性質
7.4 逆行列
7.5 固有値と固有ベクトル
7.6 行列の対角化
7.7 行列のLDU分解とLU分解
7.8 ユニタリ行列
7.9 随伴行列
第8章 連立方程式の数値解法
8.1 連立1次方程式の行列表示
8.2 ガウスの消去法
8.3 ガウス-ザイデル法
8.4 連立1次方程式の解の有無と形
8.5 非線形方程式のニュートン-ラフソン法による解法
第9章 補間と近似式
9.1 データの補間
9.2 最小2乗法
9.3 ラグランジュ補間
9.4 最良近似多項式とチェビシェフ補間
9.4.1 最良近似多項式
9.4.2 チェビシェフ補間
9.5 スプライン補間
9.6 ニュートンの前進補間
9.7 ニュートンの差商公式
9.8 差分
第10章 数値積分
10.1 数値積分の基本的な考え方
10.2 台形公式
10.3 シンプソンの公式
10.4 ガウス型積分公式
10.5 2重指数関数型数値積分公式
10.6 2重積分
10.7 畳み込み積分
第11章 数値微分
11.1 差分近似
11.2 3点微分公式と5点微分公式
11.3 偏微分と全微分
11.4 ラグランジュの未定乗数法
11.5 フェルミ-ディラックの分布関数
第12章 常微分方程式
12.1 常微分方程式
12.2 オイラーの前進公式
12.3 ルンゲ-クッタの公式
12.4 連立常微分方程式
12.5 高階常微分方程式の解法
12.6 ルンゲ-クッタ-マースン法
第13章 偏微分方程式
13.1 多変数関数と離散化ならびに境界値問題
13.2 偏微分方程式の分類
13.3 偏導関数の離散化と差分近似
13.4 楕円型偏微分方程式の数値解法
13.5 双曲型偏微分方程式の数値解法
13.6 放物型偏微分方程式の数値解法
13.7 球面調和関数
13.8 コーシー・リーマンの方程式と正則
第14章 スペクトル解析
14.1 フーリエ級数展開
14.2 ひずみ波と全高調波ひずみ
14.3 複素フーリエ級数展開
14.4 フーリエ変換
14.5 基本的な波形のフーリエ変換
14.5.1 時間幅-T~Tで切り取られた余弦波
14.5.2 時間幅-T~Tで切り取られた正弦波
14.5.3 方形波
14.5.4 三角パルス波
14.5.5 単位ステップ関数(単位階段関数)
14.6 フーリエ逆変換
14.7 フーリエ変換と逆変換の性質
14.7.1 対称性
14.7.2 関数の加減算
14.7.3 縮尺性
14.7.4 フーリエ変換の平行移動(進み・遅れ)
14.7.5 周波数の変更時間遅れ
14.8 関数の時間微分
14.9 離散フーリエ変換DFT
14.10 周波数スペクトルの測定
14.10.1 ナイキスト周波数とエイリアシング
14.10.2 周波数分解能
14.10.3 パワースペクトル
14.11 高速フーリエ変換FFT
14.12 2次元フーリエ変換
第15章 ラプラス変換と逆変換
15.1 ラプラス変換
15.2 代表的な関数のラプラス変換
15.2.1 単位インパルス関数δ(t)
15.2.2 単位ステップ関数u(t)
15.2.3 指数関数
15.2.4 正弦波関数
15.2.5 余弦波関数
15.2.6 ランブ波関数at
15.3 微分
15.4 積分
15.4 移動(時間をずらした波形)
15.5 畳み込み
15.6 ラプラス変換の性質
15.6.1 線形性
15.6.2 相似性
15.6.3 初期値の定理
15.6.4 最終値の定理
15.8 ラプラス逆変換
15.9 ヘビサイドの展開定理
15.10 状態方程式と伝達関数
15.11 過渡現象
15.11.1 一次遅れ系のインパルス応答
15.11.2 一次遅れ要素の単位ステップ応答
15.11.3 一次遅れ要素のランプ波応答
15.11.4 二次遅れ要素のインパルス応答
15.11.5 二次遅れ要素の単位ステップ応答
15.12 周波数応答
15.13 逆ラプラス変換の性質
15.13.1 線形性
15.13.2 性質
15.13.3 演算子法の基本的性質
15.13.4 母関数との関係
第16章 ウェーブレット変換
16.1 ウェーブレット変換とは
16.2 連続ウェーブレット変換
16.3 離散ウェーブレット変換
16.4 基本ウェーブレット
16.5 多重解像度解析
第17章 不規則雑音の解析と雑音除去
17.1 雑音の性質
17.2 移動平均法
17.3 周波数領域法
17.4 積算平均化処理
17.5 相関関数
第18章 窓関数
18.1 窓関数の概要
18.2 方形窓の周波数スペクトル
18.3 窓関数の特性評価指数
18.4 代表的な窓関数
18.4.1 ハニング窓(ハン窓)
18.4.2 ハミング窓(Hamming window)
18.4.3 フラットトップウインドウ
第19章 アフィン変換
19.1 1次変換と表現行列
19.2 拡大・縮小行列
19.3 平行移動行列
19.4 回転行列(方向余弦行列)
19.5 鏡映
19.6 せん断(スキユー変換)
19.7 剛体変換とアフィン変換
19.8 アフィン変換の合成
19.9 ラドン変換
19.10 投影定理
19.11 円を楕円に変換する行列
19.12 球を楕円体に変換する行列
付録A スカラ関数とベクトル関数
A1 ベクトル関数の微分
A1.1 スカラ関数の勾配
A1.2 スカラ関数の流線方向微分
A2 ベクトル関数の積分
A2.1 ベクトル関数の線積分
A2.2 ベクトル関数の閉曲面上の面積分
A2.3 ベクトル関数の体積積分
A3 ベクトル関数の発散密度
A4 ガウスの定理
A5 ベクトル関数の回転密度
A6 ストークスの定理
A7 グリーンの定理
A8 ベクトル関数の種類
A9 位置ベクトルに関する公式
A10 ベクトル関数の時間微分
A10.1 時間偏微分
A10.2 時間全微分
A10.3 時間と位置を変数とする関数に対する時間微分
A11 ベクトル関数に関する諸公式
付録B 座標変換と座標系
B1 曲線座標系
B2 二次元座標系
B3 直角座標系,直交直線座標系,デカルト座標系(x, y, z)
B4 円筒座標,円柱座標系(r, θ, z)
B5 球座標系,極座標系(r, θ, ϕ)
付録C ランダウの記号
付録D ギリシア文字の発音
参考文献
索引